*mixi のゲームサークルコミュニティ (クローズド) に投稿してあった記事の転載。*
名前: アレクサンドル
種族: 人間♂
性別: 男性
おれの名はアレクサンドル。覚えられるならシューラと呼んでくれ。まぁそれほど気にはしてないから何だっていいが。後に述べることが理由で、家の名は名乗っていない。
得意の得物は小剣。重い鎧は身に付けず、軽装で敵の隙を突く戦い方を好む。斥候 (スカウト) や野伏 (レンジャー) の技術に少々の心得がある。
歳は 21、ルキスラ帝国の取るに足りない小貴族の家に生まれた。
親父の名はピョートル。細身の剣の扱いを得意とする剣士だったが、財産を管理するほうの才覚には恵まれず、お世辞にも豊かとはいえない暮らしだった。無論召使いの数人程度はいたし、食うものに困るようなことはなかった。貴族と聞いて一般的に想像するほど、富あふれる生活をしてた訳じゃないってことだ。
母はスヴェトラーナ。気の強い性格で、しかしこれまた経理観念というものは持ち合わせちゃいなかった。貴族ってのは、代によって資産を増やしたり減らしたりするもんなんだが、うちの両親は減らす代だったんだな。
兄弟は妹がひとりに弟がひとり。妹の名はリーリア (リーダ)。どこぞの裕福な商人に嫁いだ。おかげで家は破産まではいかずに済みそうだ。弟はアナートリィ (トーリャ) といって、つい昨年成人した。頭のいい奴なので、奴の代になれば家計も持ち直すんじゃないかと思われる。
奴の代になれば、と書いた通り、我が家を継ぐのはおれではなく弟だ。本来は長男であるおれが継ぐ筈だったのだが、ちょっとしたことがあって跡目を弟に譲ることになった。
ちょっとしたことというのは、おれにとっては本当にちょっとしたことだった。成人したその日の夜に夢を見て、親父に話した。それだけだ。
その夢というのはいやに鮮明で、眠っているのにはっきりと目覚めているような、奇妙な感じがしたものだ。見知らぬ男が現れ、醜悪とも言っていい程の凶暴な憤怒の形相でおれを指差しながら、おれの知らぬ名を三度呼ばわるとこう言った。
「おのれ憎き○○○ (名は聞き取れなかった)、そなたへの恨み消えるはおろか弱まるとすら思うなよ。おのれの為した罪深き行い、たれが忘れようとこの己 (み) は決して忘れまいぞ。そなたの魂朽ちるまで、己が怒り尽きることはないと肝に銘ずるがよい!」
ちょっと何言ってるのかよくわからないんだが。
しかし親父はなにやら知っていたようで、おれの冗談めかした話を聞くや顔面蒼白、慌てて母と相談を始めた。その末に曰く、我が家の何代前だかの先祖に、夢の男と因縁のある者がいたようで、そのおおまかな話が代々伝わっているのだという。その男はおれの先祖に恨みを抱いて死に、復讐を誓ったのだとか何とか。
困った親父、賢者と称されるうさんくさい老人の意見を求めるに、おれはその先祖の生まれ変わりで、件の男の恨みを一身に負っているのだと。おれは馬鹿馬鹿しくなって途中までしかまともに聞いちゃいなかったが、両親はその話を真に受けて恐れをなした。その恨み云々で家系が途絶えちゃならんという訳で、おれは世継ぎから外されることとなったのだ。
もともと貴族の地位を継ぐことなんぞにさしたる興味もなかったおれは、身軽になったのを幸い、冒険者稼業に脚を突っ込んだ。領民の若いのと一緒にちょっとした蛮族退治やらを始めたのがきっかけだ。弟の成人を機に家を出て、帝都へとやってきた。そして出会ったのが、今つるんでる連中ということになる。
どうも話が長くなった。いい加減このあたりで切り上げておこう。最後にひとつ、おれは魔法はからきしだが、それ以外のところではなるべく細かく落穂を拾うような仕事をしたいと思ってる。技術もできるだけ幅広く身に付けていく心積もりだ。だから、専門の技を伸ばしたい奴は、細かいことは気にせずその道の大家を目指してくれ。
こんなところか。ま、とりあえず今後ともよろしく頼む、って奴だ。それじゃ、な。
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仕切りたがりで話がくどい奴です。
筆: まゆげ
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