2008/11/16

SW2.0: タビっぷらーディエゴ!

*mixi のゲームサークルコミュニティ (クローズド) に投稿してあった記事の転載。*

俺はディエゴ・オルテガ。
ディエゴって呼んでくれて、かまわねぇぜ。

俺は、ディエゴ。
俺の住んでる村は、小さい村で、じーさんやばーさんが多い。俺はじーさんやばーさんの代わりに、マキ割りや水汲みの力仕事をしたり、家の修繕やいろいろな手伝いをして、食べ物や服をもらって暮らしている。暮らしには困らねぇんだけれど、さすがにこのまま暮らしていけるわけじゃないってのはわかってる。じーさんやばーさんはいずれ死んじまうだろうし、俺自身がじーさんになっちまう。それじゃ、食べて行けねぇ。なにより、このままじゃ嫁さんが来ないよな。
両親は冒険者で、もう死んじまったじーさんとばーさんに小さい俺を預けたまま冒険の旅に出て、死んでんのか生きてんのかもわからねぇ。冒険者に憧れる気持ちもあって、グラップラーの修行を自己流に続けてはいるんだけれど・・・。
俺は、自分の人生を変えるきっかけを探していたのかもしれねぇ。

その日は、唐突にやってきた。
俺の家にタビッツの冒険者が2人尋ねてきた。白いのは高名な冒険家で、とても優秀なコンジャラーなのだそうだが、めちゃくちゃ謙虚だった。やっぱり、できる奴ってのは、普段の態度が違うよなぁ。黒くて小さい弟子を従えていた。こんなに小さいのに冒険家で弟子だなんて、凄ぇ!俺は今まで冒険家って奴に、そんなになりたいと思ってはいなかったと思っていたが、猛烈に自分を売り込んだ。アピールしまくった!
俺は、冒険家になりたい!!
自己流だが、毎日グラップラーの修行を続けていて良かった。白い方・・、お兄さんと呼ばせてもらう事になった、は、俺の拳を気に入ってくれた。俺は、冒険者の2番弟子になった!!

俺は、ついている。
冒険者になった途端に、冒険者の依頼をやる事になった。
しかし、村長もじーさんも水臭ぇぜ。鉱山に何かが住み着いたから、鉱山に行けなくなっただなんて、何で一言、俺に言ってくれないんだ!確かに、村の外には、いつも水を汲んでる小川より先には行った事のない俺だけれど、力になれるのによ。
白いお兄さん、黒い兄弟子のパディントン、ピンクのお嬢さんチェリと俺の4人は、村の近くの鉱山に向かった。
その途中、チェリさんが、「レッドキャップよ!赤い帽子を見て!!」と叫んだ。俺は、赤い帽子を見つけると一目散に向かい、拳を振り上げた。興奮しすぎで実はあんまりよく覚えちゃいねぇんだが、俺はその赤い帽子の奴に、魂を乗せた拳を叩き込んだ!
1発!2発!3発!
奴は、何かをぶちまけて飛んでいった。俺は、俺は、俺はと言うと、自分の力にびっくりしていた。
俺!行ける!行けるんじゃねぇか!?

なんて、調子の良かった話もここまでだ。
鉱山に入ってからの俺は、良いところひとつも無かった。赤い帽子のを倒して、興奮しすぎちゃったんだろうなぁ。
鉱山の奥の広い部屋に飛び込んだ俺等を、5匹の敵が待ち構えていた。お兄さんの指示で、俺は毛色の違う一匹を倒しに跳ねた!しかし、興奮しすぎだったか、俺は敵の攻撃をよけられず、モロに2発も喰らい、初手で瀕死の状態になってしまった。怒りに火がついた俺は、奴を掴もうとしたが、手は空を切った。殴ろうとした拳も空を切り。良いところが全くないまま、俺は床に倒れた。
だらしねぇ。

気がつくと、戦いは終わっていた。
聞けば、お兄さんの的確な指示と、凄い魔法が決め手で、勝つことができたらしい。この人に弟子入りして、間違いはなかった!
小さいパディントンも、さすがに1番弟子だけのことはある。あんなにちっこいのになんて冷静に戦う奴なんだ!
俺は改めて、お兄さんと、兄弟子パディントンを誇らしく思った。
俺が、歳だけくってて、足を引っ張ってちゃいけねぇ。
気持ちも新たに、俺は気合を入れて見張りを引き受けた。皆、戦闘で疲れ切っていて、休む必要があったからだ。今は、こんな事しかできねぇ俺だけれど、まずは小さい事から少しづつ・・・。皆が、戦闘で疲れ切ってしまわなくても良いように、俺は強くなるぜ!!

村に戻った俺達は、村長の家で、村長のばーさんが作ってくれた料理に舌鼓を打ちながら、冒険話で大盛り上がりに盛り上がっていた。そんな中、村長がいきなり、
「ディエゴは、冒険者になるのか?」
と聞いてきた。「何、言ってんだ。もう、冒険者だぜ」と、答えると、念を押すように、もう一度、「本当に、冒険者になるのか?」と聞いてきた。
「俺は、冒険者になる!」
と、胸を張って俺は答えた。すると村長は、奥から袋を取り出してきた。その袋には「冒険者にならないなら開けちゃダメ」と書かれていた。首をかしげる俺に、村長が、「お前の両親から、預かってたんだよ」と言った。
俺はびっくりした!とーちゃんとかーちゃんが、俺に!?とーちゃんとかーちゃん、俺の事なんて、何も気にしていないんだろうと思っていた。そのとーちゃんとかーちゃんが!?俺に!?俺に、と!!
涙が、本当に滝のように流れる事を、俺は初めて知った。袋を開けると、いっしょに冒険する人達と分けなさいと、2000G入っていた。そして、その袋の底には、「本当に冒険者になるんですよ」と書かれていた。
当たり前だ!俺は、本当のほんまもんの冒険者になるぜ!!
俺は、「冒険者にならないなら開けちゃダメ」と書かれた袋を、冒険者の袋にそっと入れた。
俺の旅は、今、始まったんだ!!

筆: Yukasaba

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