2009/08/03

SW2.0: ~ソルトンの覚え書き~ (未完)

*mixi 日記の記事を、許可いただいて転載。*

高レベルキャラを使用して遊んでみようという企画。

キャラクターは以下↓

ラルフ: タビット♂17 歳/灰色/真語 6 操霊 2 学者 2
バロール: タビット♂17 歳/黒/真語 6 操霊 3
ソルトン: タビット♂18 歳/白黒ぶち/真語 6 学者 3 妖精 1
ラベンダ: タビット♀15 歳/薄紫/妖精 6 真語 1 操霊 1 学者 2
ウィリアム (ウィル): タビット♂20 歳/茶/魔道機 6 妖精 3 
リンデン: グラスランナー♀72 歳/斥候 6 軽戦 4 野伏 2

故郷のタビッツ村は近い。
しかし、今、僕たちのちょっと前には茂み。茂みで見えないその向こうからタビッツの助けを求めるか細い小さな声。その茂みの前にはリンデンさん。
リンデンさんは、僕のおばあちゃんの頃からの知り合いのグラスランナーで、タビットと一緒にいたがる変わり者のグラスランナーだ。きっと、寂しがり屋なのだと思う。
リンデンさんは、茂みの向こうを確認するやいなや、フリッサを手にその茂みの向こう側へと飛び出して行った。
僕も、同時に茂みの向こうへと走り出していた。茂みを越えたその後、ファイアーボールを撃つべく!

始まりは、数日前。

僕は、ソルトン・ペッパー。タビットの魔法使いだ。蛮族との戦争が起こるかもしれないと言う事で、今は軍の基地で暮らしている。
その軍の基地の自室に居たところを、同じく軍の基地で暮らしているラルフに呼び出された。「用がある」と呼び出されたので行ってみれば、「何か用、ありましたっけ?」と聞いてくるようなすっとぼけた男なので、呼び出される方は、いつも少し身構えてしまう。
ラルフの部屋に行くと、すでにバロールとラベンダさんとウィルが居た。
ラベンダさんは、白に紫の毛が美しいタビットのお嬢さんだ。可愛いけれど、とてもしっかりしていて、今もてんぱっているいるバロールに、いろいろ質問して状況を整理している。
バロールは、真っ黒なタビットだ。真っ黒過ぎて、青ざめているのか、赤くなっているのかもわからないが、てんぱっているのだけは、よくわかる。こんなにてんぱっているバロールも珍しい。
そのバロールの後ろで、のんきにお茶を飲んでいる灰色のタビットが、ラルフだ。皆を呼び出したところで、自分の仕事は終わったとばかりに、お茶をすすっている。
僕を呼び出したのはラルフなので、 「どうなってるんだ?」と、ラルフに聞くと、「え?俺?…に、聞くの?」と、驚きとビビりで耳をぺったり後ろに倒してしまった。ラルフの奴、全く!
僕たちは、同じタビット村の出身だ。歳は違うが、そう離れてもいない。ウィル、僕、バロール、ラルフ、ラベンダさんと言う歳順だ。 僕とバロールとラルフは、村の村長でもある魔法使いの師匠の元で、一緒に魔法を学んだ仲でもある。

問題になっているのは、ラルフの部屋の窓枠のところで、ぐったりしている鳥型のファミリアだった。
その鳥型のファミリアには見覚えがあった。
あれは!師匠のファミリアじゃないか!

ファミリアと言うのは、魔法使いが連れている、その魔法使いの分身のような魔法動物で、鳥型、ネコ型、カエル型等をしている。魔法使いは、自分のファミリアの目を通して見たり、聞いたりすることができる。でも、話す事はできない。

僕の推測は、こうだ。
師匠が飛ばしたファミリアは、最初にラルフを見つけた。余裕のなかった師匠は、そのままラルフと接触を始めた。ところが、ラルフときたら、それが師匠のファミリアとも気付かず、「どうしたのかなぁ?」なんてとぼけた事を言っていたに違いない。そして、その内、困ってバロールに助けを求めたのだろう。ところが、そのバロールも、師匠のファミリアの突然の訪問に、皆に助けを求めるのが精一杯と言うぐらいに、何故だかてんぱってしまったようだ。

ウィルは茶色のタビットで、ラベンダさんの指示で、てきぱきと、「はい」と「いいえ」が書かれたそれぞれのカードを作っていた。ウィルの作ったカードを受け取ると、ラベンダさんは師匠のファミリアと、カードを使って話を始めた。ラベンダさんは、とても頭が良い。「はい」と「いいえ」のカードを、くちばしでつつく事しかできない師匠のファミリアに、的確な質問をして、いくつもの情報を手に入れてくれた。

故郷のタビット村が蛮族に襲われた事。
死者が出た事。
師匠や村の人たちは、今は生きているけれど、その内、殺されるかもしれないと言う事。
僕たちに、助けを求めに来たと言う事。

一通り伝え終えると、師匠のファミリアは、気絶するように眠ってしまった。
顔を見合わせる僕たちの後ろから、「それじゃ、あたしは、でかけるじゅんびをしよ~」と言う声が聞こえた。声の方を振り返って見ると、グラスランナーのリンデンさんが、スキップしそうな足取りで、部屋から出て行くところだった。
いつの間に来ていたんだ?
リンデンさんは、いつでも神出鬼没だ。何故かいつも、何時の間にか僕たちと一緒に行動をしている。僕のおばあちゃんの頃からの話らしい。タビット好きの変わり者のグラスランナーなのだ。
ラベンダさんも、「出掛ける準備をして、直ぐに出発よ!」と言って、部屋を出て行った。その後を追うように、ウィルも部屋を出る。「僕も準備をして出るよ」と言って、僕もラルフの部屋を出た。「え?え?皆で?行くの?いつ?」とか言うラルフのとぼけた質問が、後ろの方で聞こえた。

旅支度をした僕達が全員揃い、「徒歩で行くわけにもいかないだろう」と話始めたあたりで、リンデンさんが荷馬車に乗って現れた。
「うさぎたち のれー!」とリンデンさんが言い終らぬうちに、ラベンダさんとウィルは荷台に乗り込んだ。バロールと僕は、「あ?」とか「え?」とか言ってるラルフを荷台に押し込むと、それぞれ荷台に飛び乗った。リンデンさんは、いつでも良いタイミングで、必要な物を持って現れる。

それが、数日前の事。
荷馬車では入れない道になってからは、荷馬車を置いて徒歩で進み、故郷のタビット村が見えているトコロまで来た。
そして、今、目の前の茂みの向こうで、助けを求めるタビットのか細い声が聞こえているのだ。

リンデンさんが茂みを飛び越え、次いでバロールと僕がほぼ同時に茂みを抜けた。
1匹のトロールが両手に1人づつタビットを持ち、今まさにおやつのお菓子のように食べようとしているのと、その側に1匹のゴブリン、そしてトロールに切りかかり反撃を受けているリンデンさんが見えた。
「ちょっとくらい大丈夫だよね」
と言うと同時に、バロールは杖をかざしてファイアボールを撃った。ファイアボールは範囲魔法で、対象を選んで当てるとか避けるとかができない。この場合は、リンデンさんを巻き込むのだけれど、「ちょっとくらいの傷なら大丈夫だよね」と言う意味だ。
バロールのファイアボールで、ゴブリンは一瞬で消炭になった。リンデンさんは、さすがグラスランナーと言うか、スカウトと言うか、バロールのファイアボールを軽く避け、ファイアボールにひるんだトロールの隙をついて、2人のタビットをかっさらうと、抱えて横に飛んだ。それを見て僕は、トロールにファイアボールを撃った。

助けたタビットは、2人ともまだ子供だった。
「ラベンダお姉ちゃんが来たから、もう大丈夫だよ」とラベンダさんが、ちび達のケガの具合を診てくれた。ちび達にケガは無かった。ラベンダさんは、その活躍が絵本になるくらいの有名な英雄だ。ちび達はその絵本を知っているのか、自分達のピンチに現れた英雄に大興奮状態だった。
ラベンダさんに傷の手当てをしてもらったリンデンさんは、蛮族の死体からお金になりそうなものを集めていた。
僕は、自分の鳥形のファミリア、名前はロプロスと言うのだけれど、ロプロスを村まで飛ばして、村の様子を探る事にした。バロールのファミリはネコ型のロデムで、ラルフのファミリアはカエル型のポセイドン、高所からの偵察ができるのが、僕のロプロスだけだったからだ。

僕達魔法使いは、レベル上がるとファミリアを持つ事ができるようになる。そのファミリアを通して、物を見たり聞いたりする事ができるのだ。ただ、ファミリアで見ている時、自分の目で見ることはできない。つまり、両方同時に見る事はできないのだ。

ロプロスで見てみると、村にタビットの姿は見えなかった。その代わり、蛮族がうろついていた。数で言うと、1個小隊と言ったところだろうか?村の食料庫の前に見張りが立っていた。
それを皆に知らせる。
ラベンダさんが、ちび達から、村の人が村のどこかに捕らえれられていると言う情報を聞き出していた。
ほぼ間違いなく、村の人達は、村の食料庫に居る。
で、どう助け出す?と皆で顔をみ見合わせたが、次の瞬間、
「俺等、タビットだぜ?」
と皆それぞれに笑った。
僕達はやわらかい。接近戦で殴り合いになれば、ほぼ一撃で即死だ。走るのも遅いので、逃げるのも無理。先手必勝!!

僕、ラルフ、バロールは、横に一列に並び、村の門の前に立った。そして、門を開けると、そのまま横並びで、食料庫を目指して真っ直ぐ進んだ。動く物が見えた瞬間、「ファイアボール!」と魔法を撃ちながら、どんどん進んだ。僕等3人の後には、蛮族の消し炭しか残らなかった。
食料庫の前の見張りを消し炭にし終わった後、バロールのロデムが、倉庫の中の様子を見る為に、中へするりと入って行った。消し炭にした蛮族の数が足りなかったので、僕はロプロスで周りの様子を見てみた。残りの蛮族は逃げ出したようだった。食料庫の中に蛮族は居らず、罠のような物も無いと言うことだった。
食料庫の扉を開けると、震えるふわふわの塊が見えた。村の人達だ。ラベンダさんが、「ラベンダお姉ちゃんが、助けに来たよ!怪我をしている人は居るかな?」と聞いた。

助け出した村人の中に、村長の姿は無かった。村の人の話によると、最初の襲撃で死んでしまったタビットは居るけれど、その後は、皆、食料庫に閉じ込められていただけだったそうだ。その間、水や食事も十分に与えられていたと言う。ただ、定期的に数人が外に連れ出され、戻って来ていないらしい。
どう考えても、蛮族のみの考えや行動ではない。命令を出しているボスが居る筈だ。

タビットの村は、今、僕達が居るここだけではない。ここはアインスと言う一番大きな村で、この村の近くにツヴァイという村がある。そして、ツバァイの近くにドライと言う村がある。アインスとツヴァイは、昔ながらの丘に横穴を掘った形式の家の村だけれど、ドライのタビット達は、土の上に建物を建てて住んでいる。
バロールのロデムを、ツヴァイの様子を見る為に送り出し、僕のロプロスも、ドライの様子を見る為に送り出した。

バロールと僕が、リンデンさんに魔力回復の踊りを踊ってもらっている間、ラベンダさんとウィルは、村人達の怪我の様子を見て、山の方に隠れているちび達の所に合流するように指示を出していた。

すっかり夜になってしまったが、僕達はツヴァイに向かって歩き始めた。

(未完)

筆: Yukasaba

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